南極での生活も早いもので半年が経過し、非日常が当たり前の日常になってきた。基地の中はディーゼル発電機の排熱やボイラーを使った暖房で20℃程度に保たれているが、扉を開けたら-20℃以下の世界である。30m/s近い風が吹くブリザードも増えてきており雪上車や重機を使用し除雪をする機会も増えてきた。

 ブリザードによってできた雪の塊

南極の環境は過酷であるが、同時に日本では体験できないこともたくさんある。その1つが極夜である。5月30日12時43分に昭和基地 南極気象台より「只今日没、以後極夜」と無線が入り7月13日までの1か月以上、太陽のない生活を送った。基地に到着した12月は白夜の時期で24時間いつでも太陽が出続けていた。その印象からか、私も含め初めて南極へ来る隊員のほとんどは極夜=1日中夜、というイメージを持っていた。しかし、実際はお昼前後には、隠れている太陽の光が屈折して届くことで意外と明るく、拍子抜けしてしまった。それでも極夜が明けてから早々に、現地調査で南極大陸へ雪上車で向かった時に見た1か月以上ぶりの太陽は、とても明るく感動したと同時に太陽の偉大さを実感した。

 雪上車を使用した除雪

もう1つはオーロラである。オーロラが良く見える場所に昭和基地があることから、自分の感覚では晴れた夜であればほぼオーロラを見ることが出来ている。オーロラと言っても様々な形や色、変化がありどれだけ見ても感動し飽きることがない。夜、雪面に横になりながら鑑賞するオーロラは私の一番の楽しみである。フルサイズ一眼レフカメラ2台をはじめとして、アクションカメラや360°カメラなどの機材をたくさん持込み撮影しているが、一部分を切り取るカメラの画像では、実際に目で見る全天を覆って躍動するオーロラを再現することは大変難しく、今のうちにしっかり目に焼き付けたいと思う。

 虹色のオーロラと天の川

いよいよ、越冬生活も折り返し後半戦に入った。これから64次隊の受け入れ準備や除雪、野外活動の支援など今まで以上に忙しい日々となるが、より一層気を引き締め業務にあたっていきたいと思う。

(掲載協力:国立極地研究所)